テンソル微分によるベクトル解析

勾配、ヤコビ行列、発散、回転は、同じ偏微分を異なる形に組み合わせた ものです。Egisonのテンソル記法を使うと、その組み合わせを明示しながら、 記号式を読みやすく保てます。

スカラー場とベクトル場

$\mathbb R^3$ 上の多項式スカラー場とベクトル場を使います。これにより、 すべての微分を記号的に保ちつつ、結果を容易に解釈できる形にします。

declare symbol x, y, z : MathValue

def coords : Vector MathValue := [| x, y, z |]
def f : MathValue := x ^ 2 * y + y ^ 2 * z + z ^ 2 * x
def A : Vector MathValue := [| x * y, y * z, z * x |]

勾配

スカラーを座標ベクトルで微分すると、1階偏微分を成分とする共変ベクトルが 得られます。

∂/∂ f coords
$\begin{pmatrix} z^{2} + 2 x y \\ 2 y z + x^{2} \\ y^{2} + 2 x z\\ \end{pmatrix}$

ヤコビ行列

微分演算子のベクトルをベクトル場に作用させると、完全なヤコビ行列が 得られます。各行はそれぞれ $x$、$y$、$z$ による微分に対応します。

[| (\e -> ∂/∂ e x), (\e -> ∂/∂ e y), (\e -> ∂/∂ e z) |] A
$\begin{pmatrix} y & 0 & z \\ x & z & 0 \\ 0 & y & x \\ \end{pmatrix}$

発散

発散は、微分の添字とベクトル成分の添字を縮約したものです。

$$\nabla\cdot A=\partial_x A_x+\partial_y A_y+\partial_z A_z.$$

div A coords
$z + y + x$

回転

回転は、ヤコビ行列をレヴィ・チヴィタテンソルと縮約したもので、 $(\nabla\times A)_i=\varepsilon_{ijk}\partial_jA_k$ となります。

rot A coords
$\begin{pmatrix} -y \\ -z \\ -x\\ \end{pmatrix}$

局所的な級数としての見方

テンソル計算と級数展開は、同じ記号微分の仕組みを共有しています。 $f$ を $x$ について0のまわりで展開すると、$y$ と $z$ は パラメーターとして扱われます。

take 4 (taylorExpansion f x 0)
$\{y^{2} z, x z^{2}, x^{2} y, 0\}$

勾配はすべての1階微分を保持し、発散はヤコビ行列のトレースを取り出し、 回転はその反対称部分を取り出します。したがって、これらは互いに無関係な 演算子ではありません。1つの微分テンソルから、縮約や対称性を異なる形で 取り出したものです。

リンク

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